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住まいづくり 関係ない話し

本を頂きました

先日出かけついでに寄ったアアルト展。再現されたパイミオサナトリウムという建物の一室を、オシャレねなんつって鑑賞したほんの数日後に

本当の病室に約1ヶ月入院しました。急すぎる展開に自分でも驚くばかり。

どう時間をやり過ごそうか。。

やはり本の差入れが最も助かりました。内容はさておきネタが出来たという点でも。有難うございました。

 

当社の社是のひとつに「相手の立場に立って真心こめて行動しよう」という一節があります。

きっとそんな気持ちで差し入れくださったんだなあ、と感謝しつつ

集まったモノがこうも送り手を反映するのかと感動したので3パターンご紹介します。

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その1

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入院2日目に早くも上司より雑誌の差し入れが。

ただでさえ忙しく、急遽わたしの戦線離脱によって更に忙しくなるはずにも関わらず恐縮です。

「急で何を買ったら良いものか」 との言葉と共に住宅情報誌数を頂戴しました。

広告として掲載する側だった住宅情報誌を、お客さんの立場として見るとまた新鮮です。

この情報量のなかで目立つのは大変なことだなとも(特にコスト面で)改めて感じました。

前回触れました「家」創っておいて良かった。

[caption id="attachment_3456" align="alignnone" width="173"]家 これが「家」です[/caption]

去り際に「仕事のことは忘れて療養ください」と頂きましたが、思い切り住宅情報誌だったので、

 「家」 100冊、病院の全スタッフルームに配っておきました。

 

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その2

程なく社長と会社の先輩が。

この2冊。

どちらも自社の成功の理由を経営者自らが書いたビジネス書です。

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「人に困らない経営」 三和建設株式会社

70年超の社歴をもつ大阪の建設業者様。

「日本でいちばん大切にしたい会社2017」審査委員会特別賞に選ばれているそうです。

成功している要因を挙げつつ、様々な社内の仕組みや制度を紹介しています。

その数ある社内制度うち

病気による連続休暇が必要になった場合に別途2ヶ月間の有給休暇が確保されている

という何ともタイムリーな制度に一番惹かれました。

事故や病気は突然やってくるんですよ、実に有難い制度なので全ての会社はマネしてください。

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「京セラ フィロソフィ」

言わずもがな。アツい厚い605ページ。

個人的な思い出といえば20年以上も前、友人の中で最も実直な人間がこの著者の方にハマり、

感銘を受けすぎた挙句新卒で京セラさんに入社するという出来事がありました。

で、1年経たずに転職して更にビックリしたのですが、「何であんなにハマってたのに?」

「だって現実は違ったんだもん」 と真っ直ぐな答えで更に周囲を驚かせた記憶があります。

東京実家暮らしからの北見配属が理由だろ、とその時は言えませんでしたが。

 

本の中にも経営者ご本人の葛藤する場面がよく出てきます。

理想として掲げたはいいがどう社員に理解してもらうのか、

自分すら油断すると守れていないのではないか、という不安。

読み進めていくと、ただお題目だけを並べている訳ではなくて

悩みを正直に書いているのが先の建設会社さんの本との違いでしょうか。

「モノを創り得た利益を適正に配分する」 昭和世代の私にはしっくりくる言葉が、なんだかたまに揺らいでしまうような昨今。

それでもこの方向で良いんだよなと思う事ができると思います。

「お金でお金を膨らせて先に儲けた者勝ちの何か悪いの?」

「他人のふんどしで手っ取り早く儲けたいな」 という価値観に違和感を感じる人は是非。

 

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その3

入院も折り返し地点となり、ついに読むものもなくなったので妻に近所のブックオフで“適当にセンス”で、

と頼んでみました。 山里亮太の「天才はあきらめた」みたいな軽めのがいいな。

とだけ伝えて。

結果 この3冊がやってきました。

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「そういうふうにできている」 さくらももこ (1999年)

 

作者の出産にまつわるエッセイです。

なぜ俺にこれを?

妊娠判明から安定期、悪阻(つわり)や便秘との戦い。出産そしてマタニティブルーと、

一連の出来事をかなり赤裸々に書いて笑えます。経験者ならなおさらかと。

これからお父さんになる人も読んでおいた方が良いかも、そんな内容でした。

 

ちなみに出産に纏わる「生」の内容である一方、「死」についても結構書いてたります。

帝王切開のとき麻酔ではじめて意識した死。

あとがき付録にある北野武との対談でも臨死体験がテーマのひとつでした。そのなかには

「高次元の魂がいっぱいあって子供に向けて何か書いてる人なんかを応援しているんだよ」 という横尾忠則のことばも。

読み終えたちょうど頃、故人内田裕也へ宛てた「僕はもう生まれ変わりたくないから、向こうで永久国籍を取るつもり」 なんて印象的な弔辞の結びもありましたね。

そして何より昨年、作者自身が若くして亡くたった記憶も含めて

1999年の本を今読むからこそ「そういうふうにできている」の意味を考えさせられます。

 

 

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「阪急電車」 有川浩 (2010年)

 

電車が好きそうだから、という理由だそうです。

知り合って十数年、一度も電車好きなんで言った記憶も、醸し出した記憶すら無いのに。

電車好きそう、と思われてたことになぜか少しショック。

 

100万部超も売れて映画化もされているので特に紹介しませんが

結果、一番面白かったです。

片道15分のローカル線、各駅ごとの短編は駅を通過し、往復しながらちょっとずつ絡み合っていきます。

「えー、ふつうに面白い。」て感じ。

好きな話(駅)は映画のパッケージにもなってる「裏切った元彼に討ち入りする女」

往路で完璧な討ち入りを果たし、復路で新たな道へ進む、苦くて清々しい内容でした。

影響されやすい私は、きっと関西に住んでたら意味もなく一日乗車券買って5往復くらいしたかも知れません。

 

最後に

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「美人画報ハイパー」 安野モヨコ (2006年)

~美容の道は女道!泣くほどの痛みに耐えてキレイ度アップ。

 キレイな人への最短かつ最速の道は、自分のキレイを肯定することだったのです。~

 

な ぜ 俺 に こ れ を ?

 

退院を機に多少、生活が変わるとは思っていますが

美容に目覚めるとまでは考えが及びませんでした。

え、桑田の次男坊みたい になれってこと?

聞くと、笑わせようという邪な意図はなく 「違うジャンルが良いと思って」 と屈託無く言われたので、

勇気を出して読む事にしました。

 

そう、勇気がいるのです。

 

病室は担当医の回診、看護師さんからの声かけ、そして大部屋という環境。

決してプライベートな空間ではありません。

寝ていたり、タブレット見ていても、突如カーテンが “ばーっ” と開いて

「体調どうですか? 血圧測りますよー。」なんて始まり、焦って手元のモノをベットやテーブルに放ち腕を差し出す。

「あら、なに読んでるんですか?」なんて聞かれることもザラ。

 

そこに45歳にもなろうかというオッサンが 「美人画報ハイパー」 を置きようものなら

採血しながら 「あ、コイツやばい」

看護師さんの日報備考欄に 「602号室、ハイパー野郎w」

担当医から 「そこまで思い詰めなくても」

想像すると最初は躊躇ったですが、

逆にアリかも  と思いなおしたので堂々とカーテン全開で読んでやりました。

 

10数年前の美容コラム読んで何を得たかと言うと、

「あ、本当に違うジャンルだー」 という感想くらいでした。

 

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ふと、

今回頂戴した本だけを例えば自分の本棚に並べ

背表紙のラインナップを大きくなった子供が眺めたとき

「あの時、父はどこへ向おうとしてたのだろう」 と妄想して少し恐ろしくなりました。

 

“美容に目覚めた電車好きの経営者として遅咲きで良いから住宅業界で成功したかった”

 

いや、全部贈り物なのだよ。

1人の入院という出来事に対して相手の立場に立って真心込められた。

 

おわり

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