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ストーリー
建さんのほろ酔いカクテル入門 第10夜
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建設会社に勤めるサラリーマンの建さんが、自宅のご近所にあるカクテルバーでマスター相手に夜な夜なカクテル談義。
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第10夜「テキーラ・サンライズ:ミュージック&シネマ」
室蘭市内のとあるカクテルバーのカウンター。19時。
建さん:「また来ちゃいました」
マスター:「いらっしゃいませ」
建さん「近頃日が長くなって、夜明けが早くなってきたけど、今朝の朝日は、きれいだったなあ」
マスター「こんな商売をしていると、早起きがなかなか難しくて(苦笑)一日の始まりを気持ちよく過ごせるのは、いいのものですね。ところで美しい夜明けにちなんだカクテルがあることをご存知ですか?」
建さん「え、そんな素敵なカクテルがあるの?是非飲みたい!」
マスター「承りました」
マスター「どうぞ。テキーラ・サンライズになります」
建さん「いい色合いだねえ!朝日に染まる空をグラスに移したみたいだ、素晴らしい!」
マスター「オレンジジュースを朝焼けの空、グラスの底に沈んだグレナデン・シロップを朝日に見立ててこの名前が付けられたみたいですね。
テキーラの原産国メキシコのマイナーなカクテルだったんですが、かのローリング・ストーンズのボーカリスト、ミック・ジャガーが1972年のメキシコ公演の時、すっかりこのカクテルがお気に召して、滞在中に飲みまくったことで有名になりました。イーグルスの2枚目のアルバム*1にも、このカクテルの名前の曲が収録されていますね。
映画では、1980年後半にメル・ギブソン主演映画のタイトル*2にもなったりして、今では、世界中で愛飲されるカクテルになりました。」
建さん「独特の風味だけど、オレンジやシロップでマイルドに仕上がっていて、飲みやすいねえ。テキーラってあんまり飲まないんだけど、どんなお酒なの?」
マスター「リュウゼツランという植物の根元のところを削り取り、さらに蒸したものを原料にして発酵・蒸留させて作ったお酒です。(ググった写真を建さんに見せながら)こんな感じの植物ですね」
建さん「アロエっぽいけど、とてもお酒の原料になるとは思えないシロモノだ。これをお酒にしようと思いついた人はすごいね(笑)」
マスター「一説では、あるメキシコ人が山火事後の焼け焦げたリュウゼツランの樹液の香りがよく、なめてみたら甘かったので、酒にしようと思いついた、という話もありますね。
このごろ、アメリカの富裕層の暇な二代目が、中南米に旅行中にテキーラにはまって、帰国後ニューヨークでテキーラをやたら注文するので、あちらではちょっとしたブームになっている、という話も聞きます」
建さん「確かに独特の風味で面白いお酒だけど、アルコール度数が高くて悪酔いしそうな安酒のイメージがあるなあ」
マスター「テキーラもピンキリですが、熟成させた高級テキーラだと一瓶数十万円するものもありますよ」
建さん「鉄骨材の品質グレードと同じで、ピンキリか。それにしても、その最高級テキーラというやつ、ワンショットのお値段、いくら位なんだろう・・・一口飲んでみた~い!」
*1:"Tequila Sunrise" _(album)Desperado(1973),The Eagles
*2:”Tequila Sunrise”_1988年制作、脚本・監督:Robert Towne、主演:Mel Gibson
(了)