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ストーリー
建さんのほろ酔いカクテル入門 第4夜
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建設会社に勤めるサラリーマンの建さんが、自宅のご近所にあるカクテルバーでマスター相手に夜な夜なカクテル談義。
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第4夜 「ラスティネイル:古風なカクテル」
室蘭市内のとあるカクテルバーのカウンター。22時。
マスター:「何かお代りをお出ししましょうか?」
建さん:「明日は、地鎮祭の準備で早目の出勤だから、そろそろ打ち止めにしようかな。最後の一杯はお任せに」
(少し思案するマスター)
マスター:「ドライなカクテルが続いたので、少し甘めのものにしてみましょうか」
建さん:「オーケー、楽しみだ」
マスター:「承りました」
建さん:「初めて飲むカクテルだな。一見、ただのウイスキー・オンザロックに見えるけど、なんていう名前なの?」
マスター:「ラスティネイル。『錆び釘』ですね。寒い夜には、ホットでも楽しめるカクテルですよ」
建さん:「お、また大工道具の名前か。それにしてもマズそうな名前だねぇ(笑)」
マスター:「まあ、一口どうぞ」
建さん:(一口含んで)「ん、濃厚な甘口で、柔らかい良い香りだねえ。ベースは、スコッチ・ウィスキーのBallantine(バランタイン)だったけど、そっちのほうは?」
マスター:「Drambuie(ドランブイ)というスコッチ・ウィスキーを原料にするリキュールです。16世紀から歴史に名前が出てくる伝統のあるお酒ですよ」
建さん:「へー、でもあんまり見たことない酒瓶だなあ」
マスター:「何種類ものスコッチ・ウィスキーをブレンドしたものにヒースの花から集めた蜂蜜やハーブ、スパイスが調合されていて、独特の味と香りになっていますね。
因みにドランブイという名前はスコットランド地方の古語で、『満足できる酒』という意味があるらしいです」
建さん:「『満足できる酒』で作ったカクテルが、『錆び釘』ねえ」
マスター:「このカクテルの名前の由来は、カクテルの色が錆びた釘の色に似ているからという説と、イギリスでは、『錆び釘』が『古めかしいもの』という意味もあるので、古風なお酒同士をカクテルしたこの一杯にその名前を冠したという説がありますね」
建さん:「後ろのほうの説を支持する…お、グラスの氷が解けて、いい感じの舌触りになってきたねぇ!このお酒は、ちびちび時間をかけながら飲むのがいいね。打ち止めにするにはもう少し時間がかかりそうだなあ」
マスター:「看板まではまだお時間がありますから、どうぞゆっくりと味わってください」
(続く)