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ストーリー
建さんのほろ酔いカクテル入門 第3夜
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建設会社に勤めるサラリーマンの建さんが、自宅のご近所にあるカクテルバーでマスター相手に夜な夜なカクテル談義。
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第3夜 「ギムレットは早すぎる」
室蘭市内のとあるカクテルバーのカウンター。19時。
建さん:「また来ちゃいました」
マスター:「いらっしゃいませ」
(カウンターに座って、もの欲し顔の建さん)
マスター:「いつのもやつにしますか?」
建さん:「それ、それ。頼みますよ」
マスター:「承りました」
マスター:「どうぞ、ギムレットになります」
建さん:(一口含んで)「仕事疲れに、このライムの酸味は、沁みるなあ」
マスター:「以前日本では、ライムの入手が国内では難しくて、代用品としてスダチでチャレンジするバーテンダーも
いたようですね」
建さん:「それはそれで、おいしそうな感じがするねぇ。ところでギムレットって、そもそもどういう意味なの?」
マスター:「二説あるみたいですけど。ギムレットは「錐」の意味で、このカクテルのシャープな味わいから来ている、
という説と、昔イギリス海軍軍医にギムレット卿という方がいて、艦内で配給されていたジンを将校たちがやたらと
飲むので、彼らの健康を心配したその軍医さんが、ビタミン補給も兼ねてライム・ジュースを混ぜて薄めて飲むことを
奨めたことから来ている、という説があるようですね」
建さん:「へー、大工道具の錐って、英語でギムレットっていうのかぁ。両方ともそれっぽい説だね。
ただ、ギムレット卿って人は、お酒をあまり飲まない人だったんじゃないのかなあ」
マスター:「どうしてそう思われるんですか?」
建さん:「だってさ、ギムレットにして飲んじゃったら、ジンがますます飲みやすくなって、ジンの消費スピードが
かえって速くなっちゃうと思うからさ(笑)酒好きじゃないから、気づかなかったんじゃないの」
マスター:「なるほど(笑)」
建さん:「じゃあ、ギムレット、もう一杯お代りもらおうかな」
マスター:「建さん、『ギムレットは早すぎる*』」
建さん:「意味違うし(笑)」
(続く)
*「ギムレットは早すぎる」:Raymond T. Chandler 「The Long Goodbye」の一節。
原文は、"I suppose it's a bit too early for a gimlet,"