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建さんのほろ酔いカクテル入門 第2夜

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建設会社に勤めるサラリーマンの建さんが、自宅のご近所にあるカクテルバーでマスター相手に夜な夜なカクテル談義。

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第2夜「ジン・トニック マラリア予防にいかが?」

 

室蘭市内のとあるカクテルバーのカウンター。19時。

 

建さん:「また来ちゃいました」

マスター:「いらっしゃいませ」

 

(カウンターに座って額の汗を拭う、建さん)

 

建さん:「相変わらず、暑いねえ。のどが渇くよ」

マスター:「カクテルグラスよりもタンブラーのカクテルにしますか」

建さん:「そうだねぇ…、じゃあ、ジン・トニックでもぐびり、とやろうかな」

マスター:「承りました」

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建さん:「ジンベースのカクテルって、結構飲めちゃうよね」

マスター:「そうですね。ものの本によると、ジンのような蒸留酒系のお酒は、同じ量のアルコールを含む
醸造酒系のスコッチを摂取するよりも、酔いざめが速いそうですよ。因みに一番酔いざめの速い酒は
ウオッカだそうです」

建さん:「へー、ジンは、スコッチよりもきつい感じがするけどね。においのせいかな」

マスター:「よく、ジンは松脂くさい、と言われる方が多いのですが、実際ジンの香りは、全てそんな香り
ではなくて、銘柄によっても様々なバーブ(薬草・香草)が使われているので、風味がかなり違いますよ。
例えば」

(と言って青く透き通った四角い酒瓶を取り出し)

マスター:「このBombay Sapphire(ボンベイサファイア)なんてどうですか。さっきのカクテルのベースにした
Beefeater(ビーフィーター)と比べてみてください」

建さん:「あ、これJALの国際線の機内で飲んだことあるな。香りが華やかで、美味しいよねぇ。
冷凍庫にぶち込んで氷点下にしてからストレートで飲むと、とろっとしてうまい」

マスター:「そうですね。九つの香料と数種類の植物に蒸留時の蒸気を通すという特殊な蒸留法で作った
ジンです。ふつう、ジンの香料は企業秘密なんですけれど、このジンは製造元が公表しているんです。
瓶の横にも記載がありますよね」

建さん:「本当だ。材料は知れても、作り方やその材料の配合のさじ加減は、他では真似ができないという
自信があるんだね。素晴らしい!同じモノづくりに携わる者として、共感を感じるなぁ。

ところでジン・トニックに入っているトニックって、ヘアトニックとか、よく聞く単語だけど、どういう意味なんだろうね」

マスター:「元気になる、という意味だそうです。」

建さん:「じゃ、トニックウォーターは、『元気になる水』か。原料は?」

マスター:「トニックウォーターの昔のレシピには、マラリアの特効薬だったキニーネが含まれていたみたいですよ。
これには独特の苦みがあって、それに熱帯地方ではマラリア予防の意味でも飲まれていたみたいです。
今はコストの問題もあって、日本で入手できるトニックウォーターは、本物のキニーネの入っている銘柄は
少ないようですね。ロンドン辺りだと、今でも普通にキニーネ入りのトニックウォーターは入手できるようですが」

建さん:「へー、じゃあ、ジン・トニックって、薬酒なんだ。養命酒みたいなもんだよね。ガンガン飲んじゃおうか!」

マスター:「いやいや建さん、何事も「過ぎたるは、及ばざるが如し」ですよ(苦笑)」

 

(続く)

 

 

 

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