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ストーリー
愛酒家 建

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建さんのほろ酔いカクテル入門 第1夜

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建設会社に勤めるサラリーマンの建さんが、自宅のご近所にあるカクテルバーでマスター相手に夜な夜なカクテル談義。

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第1夜「蒸し暑い夜に ソルティ・ドッグ」

 

室蘭市内のとあるカクテルバーのカウンター。19時。

 

建さん:「また来ちゃいました」

マスター:「いらっしゃいませ」

 

(カウンターに座ってカクテルオーダーを考える、建さん)

 

建さん:「ここの所、室蘭でも暑い日が続くなぁ。今日一日で大汗かいたよ。コンクリートを扱う建設現場では、寒かったり、
雨だったりするより、こんな陽気のほうがはかどるんだけどねぇ」

マスター:「お店では、こんな季節になると、ソルティ・ドッグやモヒートのようなカクテルのオーダーが増えますね」

建さん:「そうだねぇ…、そういわれると、ソルティ・ドッグが飲みたくなったな。それを1杯お願いします」

マスター:「承りました」

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建さん:「そういえば、ソルティ・ドッグって、『salty(塩っぽい)』は、わかるけど、なんで『dog(犬)』な訳?カクテルの姿形からは、
あんまりイメージしにくい名前だね」

マスター:「そうですね。実はこのカクテル、生き物の犬は関係ないんです。イギリスの船乗りのスラングで甲板作業する
労働者(甲板員)を「ソルティ・ドッグ」と呼んだことにちなんでいるんです」

建さん:(眉をひそめて)「ひどい蔑称だね、船員を犬だなんて…」

マスター:(苦笑交じりに)「そうですねぇ…、まあ、船の上で、汗と潮風で塩まみれになってあくせく走り回る姿からそう
呼んだようですね」

建さん:「グラスのふちに塩がついていて、オシャレな感じがするけど、元のイメージがそれじゃあ、このカクテルのイメージ、
ガタ落ちだなあ(笑)」

マスター:「当初は、ウオッカベースでなく、ジンベースのカクテルだったようです。それに、スノースタイルというのですが、
グラスのふちの塩は、昔はついていなくて、カクテルの中に直接塩を放り込んでいたみたいですよ」

建さん:「塩を直接とは、乱暴だな(笑)でも確かに、塩味でグレープフルーツの苦みが和らいでおいしいよね」

マスター:「暑い夏に大汗をかいた後は、塩気のある味はおいしく感じられるでしょうね。その甲板員たちも、仕事が上がった後は、
このカクテルを大いに楽しんだかもしれません」

建さん:「ソルティ・ドッグが、ソルティ・ドッグで一日の疲れを癒しながら、塩分補給もしたわけか。グレープフルーツの苦みと
一日の苦役の苦みも重ねながら味わったかもしれないねぇ」

マスター:「グラスのふちの塩を口に含んで塩分調整しながら飲んでいただくとおいしいですよ」

建さん:「うん。でも、グラスのふちをちびちびなめてると、なんだか自分も犬みたいに思えてきた(笑)」

 

(続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛酒家 建
著者:愛酒家 建